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学長室から

愛に裏づけされた真の知恵を

東北関東大震災の犠牲となられた方々、また被災者とそのご関係の皆さまに、お見舞いとお祈りを申しあげます。

本学の教育の原点である「純心教育」は、平和と祈りの街長崎の地から、約75年前にはじまりました。1945年の原子爆弾投下(注)から復興した純心学園の歴史は、鹿児島をはじめ自然に恵まれた東京の八王子にも、創立者江角ヤス先生の感性溢れる芸術教育の創設ともに芽吹き、まもなく50年の歴史を刻みます。それは小規模で手作りの教育の歴史でした。ある学者は「時間とは、変化を測る尺度である」と記しておりますが、純心教育は、溢れる愛 で人と人との心をつなぐ「愛と奉仕」という尺度で測られる「手作り教育」の歴史でした。

本学の教育理念のモットーは“Sapientia in Caritate Fundata ”「愛に根ざした真の知恵」です。ものごとは、一見華やかに見えたとしても「愛」に裏づけされた知恵なしには、真の価値を永くは発揮できないでしょう。「純心教育」は、私たちの人生が知識のみではなく、何が価値あるものであるかを見分ける「真の知恵」を身につけ、人類と社会に貢献できる女性の育成を目指しております。それは聖書の「キリストの愛」の教えを、礎としてなされる教育です。その生き方の模範と仰ぐ方が、キリストの母、聖母マリアの生き方であります。

聖書の中で聖パウロは記しています。「・・・それゆえ、信仰と、希望と、愛、この三つはいつまでも残る。その中で最も大いなるものは、愛である。」(新共同訳『聖書』Iコリント書13・13)

オープンキャンパスで、初めて本学を訪れる方々のほとんどが記しています。「アットホームでこころが和む、癒される!」人と人との絆・支えあい・補い合いこそ、人間のもつ能力を存分に発揮し、さらに磨き、輝かせるのです。授かった「いのちという“宝”」を輝かせましょう。

学びと研究の日々を送る学生が、真の知恵の研鑽に励み、人類と社会の進歩に真に貢献できる人財として実るために、本学が活気ある学び舎となることを願っています。

東京純心女子大学
学長 浦田カズ代

(注)参考文献『 焼身 -長崎の原爆・純女学徒隊の殉教- 』(角川文庫)

学長ブログ

いのちの木 -寄り添うこと、寄り添う者-

2012-02-02 14:13

 人は何かにすがると、心が落ち着く。特に女性には、ある大きな強いものに寄り添いたい心理があるという。しかし、そこには落とし穴もある。寄り添うものが、果たして倒れないものかを確認する前に、信じきる脆さもあるからだ。目に見えるものに寄り添うことで、一見安堵の念はあるが、天来授かった能力を、十分に発揮できるとは限らない。

 物質文明に浸り、物欲を謳歌する現代社会において、人は寄り添うこと、真の寄り添うべき者から離れていないか。寄り添う者が脆くも倒れ消滅するものであれば、信頼していた宝は目前にして崩壊する。ただ憎悪や悲哀感や失望感のみが残り、私たちの人間性を蝕んで行く。最悪の場合はいのちまでも蝕む。今年の初詣も祈りの場が賑わった。日本の素晴らしい伝統である。寄り添う方に一年を委ね、希いをこめる。美しい人生の一齣である。 

 ピカソの抽象画が難解という学生に、ある外国人が「テレビの画面が集合したと思えばよい」と説明していた。確かに人生には難解なことが多くある。しかし、視点を変えれば何かが見えてくる。画面の一つ一つに伝えたい何かがある。その集合は実に妙に見えるが、違った感性で見つめると、そこにも「美」があることに気づく。新しい発見は「妙」から「美」へと変化させ、研ぎ澄まされた感性は「絶妙な美」の感動を生む。何事も前進するためには、「時」や「視点」を変える必要もある。それは夢や希望を「冒険」というレールに乗せてくれる。

                 「神の恵みによって今日のわたしがあるのです。・・・・
                  働いたのは、実はわたしではなく、
                                             わたしと共にある神の恵みなのです。」(Ⅰコリント15章10節)

 聖書の中で聖パウロは言う。善であり美の創り主である神に寄り添うこと、そこはぶれない真理があるようだ。新年度を前に視点を変え、堅固な何かを模索しなければならない。模索のみではなく、そこに行き着く方向を見つけたい。寄り添う方に支えられた真の恵みが見えてくるからだ。
 春にはまた、予期しない出会いや機会が待っている。この寒風の中、わたしという小枝は「いのちの木」に寄り添い、真の養分を受け、希望の春に備えているか。寄り添う者に心の目を向けるとき、人は自ずと恵みや感謝の念に満たされ、喜びはさらに輝くのである。

 

 IMG03.jpg

 ≪いのちの木≫ (ステンドグラス下絵:部分)
Sr. 浦田カズ代

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