Advent and Christmas in Junshin

東京純心大学クリスマスチャリティオルガンコンサートの歴史は、1970年12月まで遡ることができます。体育館(現在の第二体育館)で行われた東京純心女子短期大学クリスマスコンサート第1回から形を変えながら現在まで続いています。芸術を学ぶ学生が在籍していた時代には、日頃の学習成果を披露する場でもありました。出演オーディション合格に向けて、学生たちは切磋琢磨しながら各々の演奏を磨きました。またオーディションに合格しなかった学生もコンサート運営に関わり、みんなで作り上げるコンサートでした。

東京純心大学は音楽科と生活芸術科(後の美術科)という芸術を専門とした東京純心女子短期大学が前身です。戦後高度経済成長の中にある日本で、いち早く感性の重要性に気づいた創立者Sr.江角ヤスは、経済や情報の中心である東京で純心教育を展開します。そして、「音楽や美術を通して神様に近づくのが一番の早道」との考えから音楽と美術を学ぶ短期大学を1967年に開学しました。その根底には、1945年8月9日長崎原爆で犠牲となられた214名の生徒教職員が最期の時まで示し続けた「純心マッチの灯り」があったと言われます。聖歌を歌いながら、祈りを捧げながら、周囲に感謝を表しながら天へ召されていった犠牲者の中に育まれた「純心」こそ、高度経済成長に潜む「心の貧困」の時代に必要なものだと確信していたのです。

1972年には東京文化会館を会場にするなど、内容は充実してきました。1984年にはその年の創立記念日(5月31日)に完成した江角記念講堂にて公演が開始し、節目ごとに東京以外の場所での公演も行うなど、カトリック精神に基づく人間教育を展開する東京純心のアイコンとしてクリスマスコンサートは定着していきました。

1996年に短期大学から4年制の東京純心女子大学に改組転換し、純心の芸術教育は、現代文化学部芸術文化学科に引き継がれます。芸術文化学科は、文系の大学でありながら音楽・美術双方の実技科目が充実したユニークな学科で多くの学生が学びました。

そして、そこで必ず学んだのはグレゴリオ聖歌でした。短期大学開学当初から一貫してこの科目は設置され続け、Ave Mariaは卒業生なら必ず歌うことができるグレゴリオ聖歌となりました。4年制大学になってからは、オルガン、声楽、ピアノ、合唱、作曲と幅広いプログラムで2日間にわたり、江角記念講堂と府中の森芸術劇場ウィーンホールで開催されました。

2012年に芸術文化学科としてのクリスマスコンサートが最終回を迎えました。最後のプログラムである合唱では、全国から卒業生有志が集い、客員教授の長谷川冴子先生(東京少年少女合唱隊正指揮者)の指揮で講堂いっぱいに歌声を響かせました。

2013年からは国際教養学科で音楽を学ぶ学生を中心とした出演者によるコンサートが続き、2016年からクリスマスチャリティオルガンコンサートと名称を改めて、オルガンとヴァイオリン中心のコンサートを開催しています。クリスマスチャリティオルガンコンサートとなってからは、会場内でJUNSHIN CHRISTMAS MARKETを同日開催し、手芸品販売やペットボトルキャップ回収、フードドライブなどを様々なチャリティのブースを設け来場者の皆様のチャリティの架け橋にもなっています。

参考:大学25周年記念誌編集会議編集『東京純心大学25周年記念誌』東京純心大学,2021年

ステージの中央に設置されているパイプオルガンは、カナダのカサバン・フレール社によって製作され、1989年3月に奉献されました。
高さ8.6m、幅7.7m、2つの手鍵盤と足鍵盤、31のストップ、2030本のパイプを持つ、パイプオルガンとしては中規模の楽器です。2030本のパイプはすべて長さや太さが違い、短いものは2cmほど、長いものは5mもあり、鳥のさえずりのような高い音から、地響きのような重低音まで、色彩豊かな音を響かせます。
この楽器の基本設計に携わった故酒井多賀志客員教授によれば、次の3つの要素を併せ持つオルガンを目指したとのことです。

  • セザール・フランク以降のフランス近現代の作品に適している楽器であること。
  • バッハも演奏できる楽器であること。
  • 酒井のオリジナル作品の可能性も追求できる楽器であること。

完成したオルガンは柔らかみがある豊かな響きで、すべての笛(パイプ)がよく溶け合って心地よく響きます。安定した響きの中に明確さと軽さを持っていることもこの楽器の特性でしょう。

本学においては、日々の授業、入学式、卒業式、創立記念行事、ミサ、聖母祭、クリスマスチャリティオルガンコンサート、地域の方々に向けた公開講座等で、このオルガンは美しく力強い調べを響かせていきました。

本学の教育理念“Sapientia in Caritate Fundata”すなわち「愛に根ざした真の知恵」を具現化した音として、その響きの輪が、この滝山の地から地域社会へ、さらに世界へと拡がっていきますようにと願っております。

参考「Les grades orgues de Tokyo Junshin」(オルガン案内パンフレット)

座談会出席者

音楽 Sr.石川和子、川上剋美、酒井多賀志、鏑木陽子
美術 Sr.浦田カズ代、君島昌之、吉田まりの
司会 田尻真理子

田尻:5年前の看護学部の創立とともに、従来の純心との連続性の要として、感性教育を強く謳うようになりました。ところが、感性教育が何かということになるとなかなかはっきりしたことが言えないのが現状です。そこで、特に音楽教育を通して培われてきた純心教育を振り返り、今後の東京純心大学の感性教育のあるべき姿を探っていきたいというのが趣旨でございます。まず、石川先生に、音楽の高等教育機関を江角先生が立ち上げた経緯を教えて頂ければ幸いでございます。
石川: 契機の一つは、今から52年前、長崎の純心女子高等学校が昭和34年NHK全国合唱コンクールで3位になり、江角先生が大変に喜ばれたこと。もう一つは原爆です。江角先生が学校を閉じる覚悟でおられた時に、原爆で娘を亡くされた親御さん達が、娘は最後までマリア様の讃美歌を歌いながら死にました、と言って学校を閉じないよう願い出ました。この二つが次第に総合され、後に初代学科長となる、川上きよ先生に音楽科の件をもちかけられたのです。そこで川上先生が出された二つの条件の一つが、長崎から石川を東京に呼び戻すこと、もう一つがグレゴリオ聖歌をとり入れること。

グレゴリオ聖歌は祈りそのもの

田尻:音楽の短期大学をお創りになろうとしたきっかけとして、合唱コンクールと原爆で生徒さんたちが美しい最期を遂げたときの歌声があったわけですね。
石川:そうです。女子教育は、信仰と音楽の両輪で成し遂げられるべきものだと結論付けらました。
田尻:鏑木先生は入学前にグレゴリオ聖歌お歌いになられたことはありましたか。
鏑木:高校時代からグレゴリアンの楽譜をもっていました。私はグレゴリアンを勉強したくて純心に入ってきたので。
田尻:グレゴリオ聖歌に惹かれたのはその精神性によるところが大きいのでしょうか。
鏑木:そうですね。石川先生が授業でおっしゃっていたグレゴリオ聖歌は祈りそのものであるということがまず初めに印象に残ったことであるし、やはりそれがすべてなんじゃないかしら。
田尻:純心の短期大学の根底のところにはグレゴリオ聖歌があったと考えて良いですか。
鏑木:そうですね。それが例えばピアノとかオルガンとかの教育の中で反映されていく。
酒井:僕がグレゴリオ聖歌に接したのは吉祥寺のカトリック教会ですね。実は僕も神父になろうと思っていた。
田尻:メディアは違うわけですが、オルガン音楽の根底にグレゴリオ聖歌があるのですね。
酒井:オルガン曲はやっぱりグレゴリオ聖歌。それからバッハのコラール。グレゴリオ聖歌からポリフォニーの合唱曲になって、それが今度オルガンに移っていった訳で、根底にグレゴリオ聖歌がある。
田尻:そうするとオルガンも祈りになる。
酒井:まあそうですね。
田尻:川上先生ピアノの場合は。
川上:音楽は心の中から声に出すものだと称されますが、音楽のメロディーは歌ではないかと思います。ですから呼吸の伴っていないピアノ演奏はないわけです。純心短期大学の時代からピアノの演奏は、ただ非常に素晴らしい、間違えない、立派な演奏というよりは、心が出てきたものが評価されてきたように思います。

音楽教育を通じた人間教育

田尻:もちろん精神性とか内面とか心とかメッセージというのはどこの教育機関も大事にしていると思いますが、特に純心では、音楽教育を通じて人間教育が重視されてきたのではないでしょうか。
川上:そこが一番です。
田尻:人間教育という点で先生方が心掛けられてきたことをお教えいただけますか。
石川:人間教育とはこれだ、じゃあこれやるぞ、ではないと思いますね。存在から出てくるものではないですか。言葉は存在から出てくるものですから。人間教育というのは人間だと思いますね。
人間教育とは教育者の存在そのものから出てくるものです。
田尻:川上先生、特に音楽という観点でお話しいただけますか。
川上:感性教育という言葉が出てきましたが、それは教育じゃないんです。感性とは学生一人ひとりが何に刺激を受けるかが問われます。受けた刺激は自分の中で知識なり認識なりに変わっていく。そこにいる教員一人ひとりが「本物」として、本気で、本音で向かい合うところが大事なのではないでしょうか。それはその学生に対する本当の意味で愛だと思います。これを本当の意味で実践している教員が多かったと思います。
24時間365日教員というのは教員でなければいけないと私は思っています。
田尻:酒井先生
酒井:音楽の中で一番大事なのはフーガだと思います。
学生にフーガを教えるのが僕の大事な役目だと思います。フーガというのは1階2階3階4階で4階建てで心のマンションを作る。そこに自分の心が住みやすい音楽を作りなさいということを大事にしてきました。
田尻:フーガを通して一人一人の個を確立させるということでしょうか。
酒井:自分自身の心の家を作ってもらいたいという感じです。
フーガによって一人ひとり、自分自身の心の家を作ってもらいたい。
田尻:鏑木先生、いかがでございましょうか。
鏑木:先日看護学部の宣誓式がございました。宣誓をした3年生がマザーテレサの「私をお使いください」を歌い、非常に美しい歌声で響いたんですね。おそらく今回宣誓した彼ら彼女たちには、一年次の酒井先生の授業でのアルカデルトのアヴェ・マリアの記憶が残っていた。曲は違えど、これからの看護学生としての学びの決意が歌声になった。純心教育の一つが歌声に表れていたのではないかと私は思います。
聖堂における宣誓式での歌声に純心教育の一つが表れていたのではないでしょうか。
田尻:歌声とは単なる旋律ではなく、意味を持った言葉、言葉が音楽になってということが一番の原点になります。グレゴリオ聖歌もそうですけが、音楽がそのまま祈りだという言い方をしても良いかと思います。その音楽の成り立ちを私たちは大切にしていかなければならないと思います。

そのころ、皇帝アウグストゥスから全領土の住民に、登録をせよとの勅令が出た。
これは、キリニウスがシリア州の総督であったときに行われた最初の住民登録である。
人々は皆、登録するためにおのおの自分の町へ旅立った。
ヨセフもダビデの家に属し、その血筋であったので、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。身ごもっていた、いいなづけのマリアと一緒に登録するためである。
ところが、彼らがベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて、初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。
宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである。

(ルカ 2章1~7節)

「クリスマス(Christmas)」は、イエス様のご降誕をお祝いする、降誕祭です。もとは、“Christ Mass”つまり「キリストのミサ」という意味です。けれども、イエスが生まれた日が、わかっているわけではありません。聖書の中には、どこにもイエス・キリストが、12月25日に生まれたとは書いてありません。12月25日に祝われた最古の記録は、354年です。もともと12月25日は、ローマの冬至祭で、不滅の太陽が生まれる日、太陽神ミトラを崇敬していました。4世紀ごろ、それを取り入れて「キリストこそ、わたしたちの太陽」として、キリストの誕生を祝うようになったのです。そのようにして、定められていったクリスマスは、カトリック教会では次のような暦で祝われます。純心でもこの暦に従い、待降節からクリスマスの飾り付けをし、イルミネーションを点灯します。

待降節 Advent アドヴェント
イエスの降誕を迎える心の準備をする期間。日頃の行いを反省する厳粛な時です。クリスマスから数えて4つ前の日曜日からがその期間となり、毎年異なります。

降誕節 クリスマスイブの祈りから始まり公現後の日曜日まで
Christmas Eve 12月24日の深夜のミサに与ります。
Christmas   12月25日にイエスの誕生を祝います。
Epiphany 公現日 1月6日(日本では1/2~1/8の日曜日)は東方から3人の博士がイエスが生まれた厩にみどりごイエスを訪ね、3つの贈り物(黄金、乳香、没薬)を届けたとされる日。この直後の日曜日までがクリスマスシーズンとされています。

参考:東京純心大学グリーティングカード(冬:クリスマス)

クリスマスはイエス・キリストの降誕(誕生)を祝う日です。教会では、クリスマス(降誕祭)の4つ前の日曜日から、クリスマスを準備する期間(アドベント)に入ります。カトリックでは、この期間を「待降節」と呼んでいます。純心のイルミネーションもこれにならって、点灯しています。クリスマスは、神のひとり子イエス・キリストの誕生を思い起こす日として古代から祝われており、その風習は様々です。ここでは、そのいくつかをご紹介します。

クリスマスは各国語でどのように呼ばれているのでしょうか。日本語の「クリスマス」は、英語の「Christmas」に由来し、その語源は「キリストのミサ」を意味する「Christ’s Mass」です。ドイツ語は「Weihnachten(ヴァイナハテン)」、フランス語は「Noël(ノエル)」、スペイン語は「Navidad(ナビダー)」、ラテン語は「Christi Natalis(クリスティ・ナタリス)」ギリシャ語は「Χριστούγεννα(クリストゥ・ゲナ)」といいます。

ユールログ・ケーキ (フランス語「ブッシュ・ド・ノエル」)

北欧ではクリスマスをユールと言い、伝統的行事に12夜の間燃やされる特別な薪、ユールログを燃やす習慣があります。この薪をかたどったのがユールログ・ケーキ、つまりブッシュ・ド・ノエルです。

クリスマスプディング

イギリスのクリスマスのデザートでドライフルーツや木の実が詰まっています。このプディングの中に指輪やコインなどの小物を混ぜ込み、切り分けたときに当たった人の運勢を占う習慣があります

ジンジャークッキー

アメリカ風だとやや厚めに、北欧風では薄く焼きます。このジンジャークッキーを人の形や子供の形に焼き上げたものを、ジンジャーブレッドマンと呼びます。

シュトレン

ドイツのクリスマスのご馳走といえば、このシュトレン。発祥はザクセン州のドレスデンで、その歴史は14世紀からといわれ、クリスマスを待つアドベントの間、薄くスライスして食べていきます。

ツリーの先端には、キリストの降誕を知らせたベツレヘムの星にちなんで、多くは星が飾られますが、イギリスなどではクリスマス・エンジェルという天使が飾られます。絵本に描かれているクリスマスツリーを見るだけで、どこの国のお話かがわかります。

カトリックの影響の強いイタリア、ポーランド、フランス、スペインなどでは、24日はクリスマス・イヴとして祝い、こども達がプレゼントをもらうのは1月に入ってからです。イタリアのほとんどの地域ではプレゼントを持って来るのは魔女のべファーナとされています。イギリスやアメリカではサンタクロース(Father Christmas)が12月25日にプレゼントを持って来ます。日本のクリスマスもアメリカ流を受け継いでいます。オランダやドイツの一部地域などでは12月6日がニコラウスの日で、こども達はその日にプレゼントをもらいます。

参考:東京純心大学図書館報BIBLIA N.S.29号
   ジョーン・G.ロビンソン著『クリスマスってなあに?』2012年,岩波書店

Illuminationの点灯とプレゼピオの設置
学内関係者のみ

大学校舎7階からのイルミネーションは、新滝山街道からもご覧いただけます。

純心こどもの国のクリスマス
事前申込制

こども文化学科に継承されて来た行事。詳しくは、リンク先のページでご確認ください。

クリスマスチャリティオルガンコンサート
クリスマスチャリティオルガンコンサート
無料・申込不要

1972年からの歴史を引き継ぐコンサート。

クリスマスの集い(大学)
学内関係者のみ

学生たちがクリスマスへの理解深め親交をあたためる時間

クリスマス会(中学校・高等学校)
事前申込制

詳しくは、リンク先の東京純心女子中学校・高等学校のホームページでご確認ください。

クリスマスイブのミサ

学園聖堂でミサをお捧げします。