10月11日(土)は朝からの雨。それにもかかわらず、多くのお客様が純心坂を上ってコンサートにご来場くださいました。今回は、本学のSteinway&Sonsが久しぶりに演奏されることもあり、多くの方が鍵盤楽器の共演に期待を膨らませておられたように思います。


第一部 橋本創太郎氏(ピアノ)と米沢陽子先生(オルガン)によるお話は、ピアノとオルガンという組み合わせが育ったサロンの文化や教会での歴史、また現代の教会での役割など、2名の研究者の豊かな見識が、聴衆を深い理解へと誘いました。2名は大学院の師弟ということもあり、息の合った語りで、ホール内を和やかな空気で包みました。また、お話の終わりには、ピアノの伴奏で合唱の練習時間も設けられました。『いつくしみふかき』は橋本氏が大学院での研究の具体化として作曲されたもので、歌詞はそのままに新しいメロディとなっています。このコンサートが一般に向けての初演となりました。
休憩時間 多くの方が展示資料を手に取ってご覧になっていました。フランスでサロン文化の只中に合った画家の1人、ルドンが今回のメインビジュアルということもあり、田尻真理子客員研究員によるルドンを中心とした選書が並びました。


第二部 ピアノとオルガンの二重奏がらスタート。表情豊かなピアノの音色をオルガンが大きく包み込んだかと思ったら、オルガンのふくよかな音色がピアノのスパイスで際立つなど、まさに共鳴する美しさ。つづく、独奏は、各々の魅力が力強く情熱的に伝わる演奏。ピアノは、「あんなに鳴るのか!」とスタッフが驚くほどで、難解な楽器を鮮やかに弾きこなす橋本氏の才能を肌で耳で感じる演奏でした。一方のオルガンは「祈り」そのものと言っても過言ではない繊細さを垣間見ました。多くのお客様がアンケートでも触れられていた『アメリカの礼拝用二重奏曲集』からの演奏は、教会でミサに与っているような心地よく温かな時間が流れました。いよいよ最後のプログラムは第一部の最後で練習した『いつくしみふかき』の合唱です。ここではオルガンとピアノの演奏に合わせての大合唱。美しい旋律は、音の幅が広がることで、歌う者の感情を更に盛り立てる…会場にいた誰もがそれを体験した瞬間でした。アンコールでは聖年の2025年に作られた「希望の巡礼者」をご来場の皆様と一緒に歌いました。終演後、ご来場の皆様の豊かな表情をされていました。雨の中、遠方までご来場くださった皆様に心より感謝申し上げます。

*Special Thanks*
前日の調律でSteinway&Sonsを見事に蘇らせてくださった、調律師のH様に心より感謝申し上げます。調律後、演奏者の試奏から両楽器が最も響き合うポジションを見出してくださいました。良い音楽を届けたいという気持ちを共にしてくださったコンサートの立役者のお一人です。
*場内の空調について*
ご来場の方から室温について多くのご要望を賜りました。その際のご案内が統一されておらず、不愉快な思いをされた方もおられたことと思います。この場をお借りしてお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした。運営方法で改善できるよう工夫して参ります。