新型コロナウイルス感染症に関する本学の取り組み

学生、および保護者の皆様へ


東京純心大学 学長 青木治人
令和3年9月8日

新型コロナウイルス感染症がなかなか収まらない中、多くの方々が窮屈で、制約の多い生活を強いられていると思います。現在もなお、緊急事態宣言下であり、さらにはその延長の話さえ聞こえる状況です。
この様な状況下ではありますが、本学では令和 3 年 9 月 13 日より予定通り対面授業を開始することとしましたのでお知らせします。
このことについて本学の教育の基本理念,およびその実現に向けた講義等、教育方法の在り方について、学長としてその基本的な考えを申し上げます。

すでに過去何回かの通知で申し上げているところですが、本学の教育の目的としているところは、病人を看護する看護師、そして幼い子どもを保育、教育する保育士、幼稚園教諭の養成です。法学や経済学などの人文系学部、あるいは知識と実験を主とする理工系学部などとは異なる使命を帯びています。もちろん、これらの学部においても“人”に対する豊かな感性が求められるのは当然ですが、本学の教育の目的としているところは、まさに“人”にどのように接するかによって評価される職業に就く人材を社会に送り出すことにあるのです。人と接する感性を磨くためには教員との直接対話ができる対面授業は必須のものと考えています。

本年1月以降、ほぼ途切れることなく緊急事態宣言、あるいはまん延防止等重点措置などが発出されています。それに応じて本学でも1月以降、および、4月からの前学期のほぼ全期間(ごく一部の期間は除きますが)、オンライン授業が続いている状況です。これではいかに ICTが進んでいる現在とは言え、大学教育のあるべき本来の姿からは程遠いものと言わざるを得ません。特に本学が志向している教育目標から見た場合、オンライン講義で十分な効果を上げ得るか、大いに疑問があるところです。

新入生は4月以降、その他の学年は 1 月以降、大学での授業がほとんど対面では行われていない状況です。4年生はこれから半年足らずで卒業です。看護学部の学生には国家試験が待ち受けています。皆さんは、オンラインによる授業で国試に向けて十分な準備が出来ていると自信が持てますか? また、現代文化学部の学生も、大学で単位は得たとしても、保育士、幼稚園の教諭として、このような方法で十分な教育を受けたと言えますか? 講義の内容ならオンラインでも十分である、という意見があることも聞いています。しかし、私自身の古い経験と教員としての経験から言えるのですが、聞いて理解したつもりでいるのと、本当に理解し、それを頭の中で反芻し、記憶するのとは大きな違いがあることです。
この点について言えば、対面での講義の方が効果は上がるのです。これからでもやり方を変えれば遅くはありません。対面授業の開始について、是非ご理解下さい。
今回の緊急事態宣言下における大学教育の実施方法について、国や都からは明確、かつ具体的指針は出されていません。しかも、教育の質、またその結果に関しては何ら保証されてはいないのです。

本学には学生の皆さんを教育し、社会に送り出す責任がありますが、さらに言えば、本当は皆さんが将来接することになるであろう病気の人、幼い子どもに対してこそ責任があるのです。
国家試験を通れば済む、大学で単位認定されれば済む、と言う問題ではないのです。社会に出た時、社会が皆さんに求めるのは、十分な知識、技術、問題解決能力を持っている事、即ち実践力です。
もちろん社会に出てすぐの時は慣れるまでの時間が必要であり、習熟するまでには時間がかかるのは仕方がないと、周りは容認してくれますが、しかし、だからと言って、今年卒業した人たちは新型コロナウイルス感染症の影響で,講義や実習はオンラインだったから仕方がない、特別扱いしよう、などとは思ってくれません。ましてや病人や子どもはそのような理由で待ってくれはしないのです。
現在、全国の大学が置かれている状況は、講義や実習の形式は感染防止策を徹底した上で、各大学の状況に合わせて行ってほしい、でも教育結果は自分たちで責任を持ちなさい、と言う事なのです。すべて大学の自己責任であると考えざるを得ないのです。そこで、今回、本学は講義をはじめとする教育形式の在り方を考え直す必要があると考え、本学の教育目標とオンライン教育の限定的効果とを考慮し、本学の責任の下、独自の判断として対面授業の実施と言う決定に至ったところです。
今回、本学が対面授業を開始すると決めたのは、以上の理由からです。

もちろん、この決定は例外なく全学生に一律に適用される、と言うものではありません。
家族に高齢者、あるいは持病のある方がいる場合で、対面授業に出席するのはリスクが高いと思われる学生には、自宅でも対面授業に参加できるよう、その内容を同時配信することも用意しています。質疑、応答も可能です。申し出てもらえれば大学が判断する事になりますが、何れにしても学生にとって不利が生じない様に考慮しますので、その点は承知しておいて下さい。
また、対面授業を開始するからと言って、本学が新型コロナウイルス感染症のリスクを軽くみている、と言う事では決してありません。

従前より申し上げていますが、本学の基本方針は①学生、教職員の健康を守る、②教育の質、量を維持する、の二点です。
健康を守ることに関して言えば、本学ではワクチン接種希望者は、9月半ばで全員に2回接種が済むようになっています。医療系学部以外の学部を有する大学としては全国に先駆けて迅速に接種が進んでいる方だと考えています。このようにワクチン接種が進んでいることは、感染防止策としては大きな効果を期待できるところですが、だからと言ってすべてが解決するわけではありません。むしろ更に注意しなければなりません。
大学としては、施設の環境を整備する、換気を十分にする、施設の消毒等を徹底させる、各人の接触機会を減らす、等を更に徹底して行かなければならないと考えています。

換気の良し悪しは、感染拡大防止の上で最も重要視されている点です。多くのビルに設置されているエア・コンは、通常換気機能は不十分で、本学のエア・コンも例外ではありません。従って、しばらくの間は窓を開けての換気も並行して行わざるを得ないことをご理解ください。

また、友人同士と云えども、各人との物理的接触の機会を極力減らす事は絶対に守ってもらわなくてはなりません。マスク着用、人との距離を保つ、食事中の会話は禁止、は基本的、かつ必須の対策です。学生の皆さんは是非厳守してください。もちろん、この点は教職員にも率先して守ってもらう様、学長として改めて周知します。
今後社会全体としては、ウイズ・コロナとなっていくでしょうが、個人個人のレベルではゼロ・コロナを徹底していかなければならないのです。

今まで、感染状況の程度による大学の対応内容を策定してきましたが、今後、全国的にワクチン接種が進んだ場合、感染状況に伴う緊急事態宣言の内容も変わるかも知れません。本学も、従来の対応策を見直さなければならないと考えています。ケース・バイ・ケースで考える、では無責任の誹りを免れません。早急に指標を作成すべく検討を行いますので、その際は学生の皆さんに周知します。

以上。